重力に縋るな

千種夜羽です

夏休みにconnectFreeのインターンに行った話

3週間京都でインターンしてた

ブログ書くのめっちゃ久しぶりですね.sksatです.

ちなみに大学生になりました. 大学受験のこととか,大学生活のこととかはそのうちなんか書こうと思います.

で,まあなんだかんだあったとはいえ大学生という身分を利用して最近色々やってます. 研究室入ったり,ロケット打ったりとかね.

あと,長い夏休みを利用して3週間ほどconnectFreeという会社にインターンに行ったりしてました.今回はその話です.

経緯

一般的なインターンって,会社が募集して学生が申し込んで,なんかしらの選考を受けて...とかやるらしいんですが, 今回は全然そんなかんじじゃなくて,行きたいな〜と思っていたらスッと決まっていました.すげえ.

多分最初にconnectFreeに興味を持ったのはLDScellさんのブログ記事だったと思います.

「アホだから,やるんだよ!」,なんでもかんでも自分で車輪の再発明しちゃいたいオタクっぽくてめちゃめちゃ好き. 低レイヤで面白いことやってる企業ってだけでもう興味しかないですね. その後,鮟鱇さんのツイートを見て更に興味が湧きました.

僕は計算機弄りが大好きで,大学も計算機弄るために進学したようなものです. なので,バイトとかやるとしても計算機弄りがいいなあと思っていました(まあ,他が無理というのもあります). でも,計算機弄ってたらお金が貰えるようなものって大体Web〜,とかスマホアプリ〜,とかばっかりじゃないですか(偏見). そもそも僕が計算機弄りを初めたきっかけは中学生の時に『30日でできる!OS自作入門』に何故か出会ってしまったからで, それからも低めのレイヤでわちゃわちゃするか数値計算っぽいことをやるかぐらいしかしてませんでした. ゲーム自作とかもほとんどやったことないですし.

もちろん,組み込み系のところを探せば低レイヤでわちゃわちゃすることもできると思うんですが, あんまりこのご時世に責任が発生するものをCでゴリゴリと書きたくはないですね... 贅沢かもしれないですがせめてC++(11,14,17)は使いたいですし,ナウでホットなRustとか使ってたらめっちゃ良いですよね. Rustあんまり書いたことないけど.

そんなことを思いながらなんとなくバイトを探すなどしていたんですが, そこでこんなものを見たらエーッッッこれ面白そう!!!ってなっちゃうわけです.

そんなこんなでconnectFree面白そうだな〜と思ってツイッターをしていたらなんか見学させてもらえることになったので見学させてもらいました.

見学では,

  • EVER/IPのデモ
  • Zen言語
  • NETBOY

などを軽く見せてもらいました.

EVER/IPはL3のセキュアなプロトコルで, アドレスなどがIPv6互換になっているため,上のレイヤのソフトウェアを書き換えることなく導入が可能になっています. 実際に,connectFreeのGitLabはEVER/IPを使って運用されていて,「自社プロダクトで開発環境が運用されてるのめちゃめちゃ良いな...」と思いました.

ZenはconnectFreeが独自開発しているシステムプログラミング言語で,Zigという言語をforkしたものです. ベアメタル環境などで使われることをとても意識した言語で,標準ライブラリも多くのものがベアメタル環境でも使うことができるようになっています. その上,パターンマッチなどのモダンな言語機能や,メモリアクセスの範囲チェックをコンパイル時に行ってくれたりします.

NETBOYは独自のボードで,もちろんこれの上で動くOSもZenで書くとの話でした.

気持ちになりました.はい.

めちゃめちゃ良さそうだったので,帰り際にぜひバイトとかしてみたいですね〜みたいなことを話しました.

その後,第15回Kernel/VM探検隊に行ったらconnectFreeのCEOが発表してたので, 直接会って話したら,「来たらええやん!」と言われてなんか京都に行くことになっていました.ウケる.

経緯としてはこんなかんじです. そんなわけで9/2〜9/20の間京都に行ってじっくりインターンをやらせてもらいました. ちなみに,京都までの交通費はもちろん,インターンの間住む所の手配とかも全部総務の人がやってくれました.

やったこと

Zen言語の学習

connectFreeでは色々なソフトウェアがZenで書かれているため, 最初の数日はZen言語の学習をしていました. @LDScellさんが作っていた色々なドキュメント(zenbeddedとか)を見ながら色々書いてはコンパイラに怒らていました. ちゃんと怒ってくれるコンパイラも,ベアメタルでも使える色々な標準ライブラリも,諸々のモダンな文法もすげえ...ってなってました.

現在は基本文法・標準ライブラリのドキュメントが公開されているので,興味がある人は見てみてください. Public Beta版のコンパイラも公開されているので,ぜひ遊んでみてください!

個人的には,u1,u2みたいなビット数を指定した変数を作ることができるとことか, comptimeでコンパイル時計算がゴリゴリできるところとか, interfaceとか,UEFIプロトコルが標準ライブラリにあるところとかが好きです.

Zenを使った(組み込み)OS開発

Zenを一通り学んだ後,Zenで組み込みOSを作っていました.やったぜ. 独自のプログラミング言語で独自のOSをフルスクラッチできるインターンとか最高すぎるし他では(多分)絶対できないんだよなあ...ありがてえ...

どのZenの機能をどう使ったら綺麗に実装できるかな〜と考えてコンパイラに怒られるのは楽しかったです. また,途中からこのOSは複数人で開発することになったのですが,今まで複数人での開発というものをやったことが無かったので色々と新鮮でした.

あと,インターン中にもZenコンパイラはゴリゴリと実装が進められていくので, それを眺めるのも,出社即git pullしてmakeするのも,「エーッ先週CEOと話してたことが新機能として生え初めてる!?」ってなるのも楽しかったです.

その後

インターン中に弄っていた開発ボードを貰うなど.中々高機能なので弄り甲斐があるボードです.

そして,お賃金の方も結構いただけたので,思い切って人生初の「自作PC」ってやつをやりました. まあ自作といっても本当に買ってきたパーツを組み上げるだけでしたが.

あとなんかアキバでオタクに煽られて光るメモリにしました. メモリが光ると何がうれしいのかよく分かりませんが,なんとメモリが光るんですよね.

あと調子に乗ってNVMeにしました.速くてうれしい.

もちろんArch Linuxを入れました.

また,インターンが終わった後もリモートでちょいちょい働かせてもらえることになりました. というかしてます.やったね! 多分また長期休暇期間に京都行って集中的にやりたいなーとも思ってます.

あと,僕はどうやらconnectFree初のインターン生だったみたいなのですが, 技術書執筆サークルの強いオタクがconnectFreeに興味を持っていたので社の人に紹介したらちょうど僕と入れ替わりぐらいのタイミングで京都に吸い込まれていきました.

元気にZenを書いているみたいで何よりです. 僕も元気にZenを書いていきたいですね. そのうちロケットの電装に使いたいなあ...

技術書典4に行ってきた

行ってきた. あ,ちなみにこれからはなんかイベントとか行ったら雑でもなんか書くことにしました. あとはパソコンカタカタのシンチョクをにょろ〜んと書いていければ最高ですね.

技術書典,何

一言で言うと技術書版のコミケ.たぶんそれで大体あってる. 技術書,と言っても大半は個人/団体の同人誌ですが.

詳しくは公式サイトを見てくだしあ.まあ正直ここだけ見てもなんもわからんが.

前日

9時に集合=それより前に起きる=無理では? となった

エラいので寝た.

天才なので8時台に起きた.

出発したのが9時半.何故? その衝撃的な理由は↓

しかし技術書典は待ってくれない.

て,ておくれてないし...

なんか釣り堀っぽいやつ見かけた.たのしそう.

着いた. 人間が多すぎて整理券もらうのにすごく並んだ.

技術書典では一意な囚人番号が割り当てられます.

囚人が大量輸送されてた(整理券配布列).

「奴」がいた(もちろん買った).

人間がいすぎて全くツイートができなかった. 気がついたら金を失い謎の紙束を所持していた.

どうもsatさんが学ランネタを気に入ったらしい.

satさんのMeltdown本が欲しかったが,まだ紙になったものが届いていなくて,それが1時くらいにくるらしいとのことだったのでとりあえずオタクで集まって飯を喰った.

「ラ!」と叫ぶと替え玉が無料で降ってくるのでつい喰いまくってしまった.2回替え玉した.

午後

というわけで戻ってきてMeltdownした. この時点でもまだ整理券配布の列はかなり長くて,入場できるのが2700番までとかだった.

すぐこういうことする. こういうことしてるから後ろから近づいてきたオタクにこっそりカバンにメモリ入れられそうになるんですよ. というのはネタで,ThinkPadでRAM4GBでがんばっていたらすぐメモリがオワオワリするのでTLに念を送ったらフォロワーからメモリが生えてきたのでした.感謝!!!!! ちなみに今まで4GB以上の環境を使ったことがない.

計画性が皆無なのでZIPを完全理解しそこねた.

Meltdownは...ありまーす!!

ここらへんで,やることが大体終わったので適当に存在しているオタクとオタクをしていたんですが解散の流れになり,megumishさんがTothenewfutureさんとエンカしそうな雰囲気を醸し出していたので適当に尾行したら結局UDXに戻ってきた&オタク音信不通になったのでmegumishさんと適当にダベってた.

ダベっていたらエモになった. 計画性が本当に皆無なので道端にいたフクロウカフェの宣伝の人とフクロウにつられて気がついたらフクロウカフェにいた. カフェというよりエモ空間だったが...

エモ空間

フクロウカフェ,鶏が一番自由を謳歌していましたね.

みられてる

これすき

あと,技術書典は気がついたらすごいことになってた

Tothenewfutureさんとも会えたので戦果を報告しました.

買ったもの

買いすぎでは...

本当に面白そうなものが色々あったので気がついたら買ってましたね. レイヤーが低めのものが割とあったのも良かったです.

次は売る側で参加してみたいなあ(などと).

カーネル/VMキャンプ #7 に行ってきた

行ってきました.

最近ブログ書いてなかったのでちょっと書く.<- 書いたらTogetterか?みたいなかんじになった

なんやねんそれ

kernelvm.connpass.com

これですね. ハッカソンみたいなやつ(?)です.

まあ多分だいたい「山でオタクで集まってパソコンカタカタすると→タノシイ!」という感情が具現化したみたいなかんじ. ゆるキャン△はいいぞ.

今まで何度か探検隊とかキャンプの様子をTwitterやらYouTubeのLive中継とかで見てたんですが,「これ絶対タノシイな...」と思ったので衝動的に参加してみました. レイヤーが低めな人の界隈なのも良さがある.

1日目

1日目といいつつ,僕は土曜日も登校なので学校帰りにそのまま現地に向かいました.

おなかすいてた. 立川のかにチャーハンの店おいしいよね. 何度か青梅特快乗ってるのにホーム間違えて危なかった. ここらへんに来たのは久しぶりでした.登山部も引退?したし.

この後はバスでロッジの最寄り(2km)のバス停まで行きました. 普段は最後の方までガッと乗っていく藤倉行きを途中で降りるの新鮮だった.

2kmだし歩くか〜wって思ってたら車で迎えに来てもらえました.感謝

そんなかんじでロッジに着きました.

屋根があるのすごくない?2階まであったし(今まで山奥に来たら大抵△だったので感動した). 大型キャビン | ロッヂ神戸岩 東京都檜原村にあるキャンプ場 パワースポット神戸岩に一番近い 秋川渓谷 BBQ コテージ バンガロー テントサイト 日帰り デイキャンプ 水洗トイレ完備

着いた時は♨に行っている人などがいたので少し人数は少なかったのですが, パソコンカタカタしてるオタクや転がって寝をしているオタクなどが散乱していて「ここには...『自由』があるんか...!?」とか思いました.

あとあの小屋,トラフィック最上川は無いのは当然としても電力最上川あるのは最高でしたね. まあ無いとオタクが生きていけませんが.タコ足配線の「強さ」を感じましたね.

あとなんかかなり強いアニメ上映環境が用意されてて,割と早い段階でアニメが流れ初めてた.

焼き

オタクなので△グッズを持っていったら好評だったので良かった

アニメ

放課後のプレアデス

魔法のステッキが「キキーッ」とか「ブロロロ...」とか鳴るの本当にエモい. 天文オタク的にもエモが詰まってたんですが,おるみんさんが「ここNAOJ監修」とか言っててウオオというかんじでしたね. 土星の輪のとことか4D2Uみあった.

プリンセス・プリンシパル

百合最高ですね.

クオリディアコード

クオリディアコードの円盤を買ったもののBD再生環境が無く中身を見ていなかったので見ました. 千種夜羽が出てくる11・12話しか買っていないので当然11話から流すことになり,視聴済のおるみんさん以外「?」となっていたのがチョットアレでしたね.金があれば...(とはいえ金があったら揃えるかというとウーンというかんじになる). いやでも千種夜羽最高なんですよ.

「修正」,っょぃ.

あと,隣で人狼やってる中,オーディオコメンタリーを聞くためだけに2.5周したのは我ながら限界だったっぽい

2日目

なんかクオリディアコード終わってしばらくパソコンカタカタしてたら外が明るくなってきてて,ついでにねむかったので何も考えずにオフトンインしてた

起きたらこんなかんじで最高だった.

この日は適当にごはん食べに行って,

ついでに滝を見に行きました.

で,おうちにかえってきました.

何故か再上映されるプリプリ.百合は脳に良いんですよ.

アンジェさん,「歯止めが効かなくなる」じゃあないんですよ.最高か?いいぞもっとやれ.

色々な妖怪

妖怪は...います!

妖怪めしさらい

エビデンス

現代社

シンチョク

sprintf関数内で無限ループになってSEGVして落ちる,みたいなバグがあって,今回のキャンプではsprintfのアセンブリ読んでこれを解決するぞ!って思ってました. で,golibcの実装読んでsprintf内のラベルのアドレス調べてそこが実行されたらダンプする,とかやってたんですがどうもアドレスが違いそうな雰囲気. で,https://github.com/HariboteOS/tolset の中にいたgolibc.libを自分でビルドしたgolibc.libに置き換えて実行してみたら完全に動作してしまった,という. まあ動いたのは良かったんですが,元々のgolibc.libでビルドしたはりぼてOSはQEMUでは動いてくれるので,バグがあるのは事実っぽいので今度原因を探りたいですね. ただ,元々のgolibc.libはfileコマンド打ってもdataって表示されるのは一体...(tek圧縮でもされてるのだろうか?

花粉が無料で手に入る檜原村

謎の要望

感想

クソ楽しかったです.

ムラに帰りたい...

これは事実

NimでOS開発したいねという話

これは自作OS Advent Calendar 2017 の10日目の記事です.遅刻です.

アアアアアすみません!!!!!

では謝罪も終わったところで(こいつ反省してんのか?),Nimで自作OSしたいねーっていう話をしていきたいと思います.

そもそもNimってなによ?

プログラミング言語のひとつで,最近僕が気に入ってるやつです.

Nim - Wikipedia

構文とかはかなりPythonっぽくて,インデントでブロックができます. フィボナッチ数列とかはこんなかんじ

proc fib(n: int): int =
  if n < 2:
    return n
  else:
    return fib(n-1) + fib(n-2)

echo(fib(30))

見た目はPythonっぽいですがintとか出てきてますね.そう,Nimは静的型付け言語なんです.

なんでNim?

さて,ここまで来て「え?そんなPythonみたいなやつどうやってベアメタルで動かすの?mrubyみたいなのあるの?*1」と思われた方もいるかもしれませんが違います.

なんでかというと,そもそもNimはコンパイル言語だからなんですね. コンパイル言語なので,コンパイルするとバイナリが出てきます(それはそう).

しかし,Nimのコンパイル手順はちょっと特殊です.コンパイルしても直接オブジェクトファイルとかは出てきません. じゃあなにが出てくるのかというと,なんとビックリ,C言語のコードが出てきます.面白くないですか?

そのため,Nimをコンパイルしてバイナリを出力する手順は,

Nim ==nimコンパイラ==> C ==Cコンパイラ==> バイナリ

というかんじになっています. コンパイラというよりトランスパイラに近いのかも.

Cだけではなく,C++/Objective-C/JavaScriptなどにも変換出来るらしいですね.すごい.

では,実際どんなかんじなのか,まずはちょっと普通に使ってみましょう.

nim-lang.org

ここの記事そのまんまなのでインストールは割愛します.

では,初めににハローワールドしてみます.

echo "Hello, World!"

これをhello.nimというファイルに保存します. で,コンパイル言語なのでコンパイルして実行形式のバイナリを作ることができます.

$ nim compile hello
Hint: used config file '/etc/nim.cfg' [Conf]
Hint: system [Processing]
Hint: hello [Processing]
CC: hello
CC: stdlib_system
Hint:  [Link]
Hint: operation successful (10984 lines compiled; 1.404 sec total; 17.938MiB peakmem; Debug Build) [SuccessX]

compileオプションはcとしてもOK.((ここをcppとするとC++に,jsとするとJavaScriptに変換出来ます))

これで,helloという実行形式バイナリが出来ました.

$ file hello
hello: ELF 64-bit LSB shared object, x86-64, version 1 (SYSV), dynamically linked, interpreter /lib64/ld-linux-x86-64.so.2, for GNU/Linux 3.2.0, BuildID[sha1]=184748d3c78ff375408fdf598d6217f3256f5721, not stripped
$ ./hello
Hello, World!

しかし,先程書いたように,Nimは直接バイナリなりアセンブリなりは吐かず,代わりにCコードを生成します. そのCコードはどこに行ったのかというと,nimcacheというディレクトリの下に生成されています.

$ ls ./nimcache
hello.c  hello.json  hello.o  stdlib_system.c  stdlib_system.o

hello.c,stdlib_system.cというCコードが生成されていて,それをCコンパイラコンパイルしたhello.o,stdlib_system.oというオブジェクトファイルが出来ているのがわかります*2

stdlib_system.cは共通のAPIラッパーみたいなやつなので,生成されたプログラムの本体はhello.cです.

hello.cを見てみると,ちょっとゴチャゴチャしています*3

int main(int argc, char** args, char** env) {
        cmdLine = args;
        cmdCount = argc;
        gEnv = env;
        NimMain();
        return nim_program_result;
}

main関数はこんな感じです. コマンドライン引数とかをグローバル変数にとっておいて,NimMainという関数を呼び出しているだけですね.

...と思ったら,んんん!?main関数に3つ目の引数がある!?

調べてみたら,ここから環境変数が得られるらしいですね.初めて知った...

moge32.jugem.jp

じゃあNimMainはどうなってるのかというと,PreMainやらinitStackBottomWithとかいう関数を呼んだ後,NimMainInnerという関数が呼ばれ,そこからNimMainModule を呼んでいます.

STRING_LITERAL(TM_xLHv575t3PG1lB5wK05Xqg_2, "Hello, World!", 13);
〜〜〜
NIM_EXTERNC N_NOINLINE(void, NimMainModule)(void) {
        nimfr_("hello", "hello.nim");
        nimln_(1, "hello.nim");
        printf("%s\012", ((NimStringDesc*) &TM_xLHv575t3PG1lB5wK05Xqg_2)? (((NimStringDesc*) &TM_xLHv575t3PG1lB5wK05Xqg_2))->data:"nil")
;
        fflush(stdout);
        popFrame();
}

ゴチャゴチャはしていますが,printf"Hello, World!"を表示しているのが分かります. この関数が変換されたNimコードの本体のようです. なので,生成されたCコードを確認したくなったらここらへんを見ましょう.

というわけでやってみる

さて,これでNimがちゃんとCに変換されてprintfで文字列表示をしているのが分かりましたが,本題はここからです. 本題は何だったかというと,NimでOSを作りたいんです. 要するにNimをライブラリとかが全然ない環境でも動かしたいんです.

じゃあどうすればいいか?ここまでくれば簡単ですね. Nimコンパイラが生成したCコードで呼び出している基本的な関数を専用のやつに置き換えてしまえばいいんです!

とはいっても,printfやらputsをいちいち作るのは面倒なので,もうちょっと楽な手段を使います. 実はNimは,デフォルトでCに変換するだけあって,Cとの連携がしやすくなっています.具体的に言うと,インラインアセンブラみたいにCが直接書けたり(emit),Cの関数をNimの関数として呼び出すことが出来ます.

Nim Backend Integration

詳しくは公式のドキュメントを見ましょう.

で,こんな感じにやればベアメタルでNimが使えるのでは?と思って試行錯誤してなんとか標準Cライブラリ無しでフィボナッチを計算して出力してみたというのが,以下のリポジトリです.

github.com

しかし,このrepoをよく見てもらえると分かると思うんですが,なんか結構色々やってますね. Cのコードが66%もあります.

何故こんなことになったのかというと,あのstdlib_system.cがかなり曲者でした. 最初はstdlib_system.cを自作して置き換えてやればいいかなあとか思っていたんですが,バージョンによって少しづつ変わるみたいなのと,GCの処理などがあったので弄るのをやめました. では具体的には何をやったのかというと,stdlib_system.cでincludeしているstdio.hとかのヘッダを自作して,そのうちの必要な関数をちまちまと実装しました. そして,標準Cライブラリを使っていないので,アセンブラでwriteシステムコールのラッパーも書きました.*4

まあ手抜き実装なので,エラーが発生したときに呼ばれるsignalとかはマクロで虚無に書き換えています.

でも,これはあまりにも面倒ではないですか? まあもちろん,mrubyをハイパーバイザに移植とかよりは断然楽なんですが,ここからこれを使ってOSを書いていくとなると,環境構築のコストが高いです. そして,僕が作ったものも手抜き実装なので色々と抜けているところがあります.これならC++やRustでいいじゃん...ってなっちゃいますよね.

Rustとか特に

https://os.phil-opp.com/

とか出てますし.*5

「は?ベアメタルでNimやるのダルすぎ.C++/Rust使うわ」

と思うじゃん???

いやね,僕もそう思ったんですよ. でもね,違ったんですよ. あっ待ってそこの人!まだチャンネル変えないで!ここからすごいの!!! 衝撃の真実はCMの後で!

CM

github.com

えーっと,x86エミュレータを作ってm...作ってるはずです. いや進捗出てなくて申し訳ない,というか学校関連特に夏休みあたりがアすぎたはい僕もやりたいんですよでも時間がえ?時間は無かったら作るもの?それはそうはい作ります!作るぞ!!!(宣言)

衝撃の真実的なsomething(575)

はい,CM終わり(CMか?)

CMが終わったので予告していた衝撃の真実です!!!

結論から言いましょう!!!

先程僕がやったことはすべて無意味です!!!

いやあ,やってて気付いたこととかもあるので個人的には無意味ではなかったので良かったんですが,超絶楽な他の方法がありました.

気がついたきっかけはNimのコンパイルオプションを調べていた時のことです. 適当にスクロールしていたら,"embedded"という文字列を見かけた気がして,見たら,あったんです.

Nim Compiler User Guide

Nim for embedded systems

...え?embedded?組み込み?組み込み向けに使えるの????

The standard library can be avoided to a point where C code generation for 16bit micro controllers is feasible. Use the standalone target (--os:standalone) for a bare bones standard library that lacks any OS features.

え?--os:standalone?なんですかそのいかにもって感じのオプションは!?

色々調べてみたら,CPUとかGCの設定も出来ることが分かりました. また,

using Nim / Nimrod for micro-controllers (embedded) - Nim Forum

を見てみると,

Check out nimkernel for an example of using Nim to program bare metal.

ん?????

github.com

え??????

というわけで,僕がやろうとしていたことは既にやられていたのでした.

そして,このrepoでは僕が先程やっていたようなことはやっていません!

やってみた2

さて,超簡単な解決策が見つかったので,今度こそNimでOS(っぽいもの)を作っていきましょう!

基本的には(nimkernel)GitHub - dom96/nimkernel: A small kernel written in Nimと似たようなかんじでやっていきます.

まずは,main.nimを作ります.

proc main() {.exportc.} =
  return

これがmain関数になります..exportc.というのはこの関数をCの関数にする指定です. このmain関数はブートローダーから呼ばれるので,この指定を付けておきます.

で,あとはさっきの--os:standaloneとかのオプションをつけてコンパイルして色々弄っていけばいいんですが,いちいちコンパイルオプションを打つのは面倒です. こういう時はMakefileを使うのがよくある手ですが,Nimでは他の方法があります. main.nim.cfgというファイルを作って,そのファイルにコンパイルオプションを列挙するだけでOKです. コンパイルオプションは,--os:standaloneの他に,--gc:none,--deadCodeElim:onとかも付けておくと良いです.

あと,デフォルトのmain関数を作らない--noMain,変換後のCコードをコンパイルしたオブジェクトファイルをリンクしない--noLinkingなどもお忘れなく.

では,ちょっとコンパイルしてみましょう.

$ nim c main
Hint: used config file '/etc/nim.cfg' [Conf]
Hint: used config file 'main.nim.cfg' [Conf]
Hint: system [Processing]
lib/nim/system.nim(2708, 11) Error: cannot open '/home/sksat/prog/nim/nim-os/panicoverride'

失敗してしまいました.どうやら,panicoverrideというファイルが無いと言っています.

ここで,もう一度 Nim Compiler User Guide を見てみると,

For the standalone target one needs to provide a file panicoverride.nim. See tests/manyloc/standalone/panicoverride.nim for an example implementation. Additionally, users should specify the amount of heap space to use with the -d:StandaloneHeapSize= command line switch. Note that the total heap size will be * sizeof(float64).

とあります.panicoverride.nimを作らないといけないみたいですね.

とりあえず空のファイルを作ってコンパイルしてみると,

$ nim c main
Hint: used config file '/etc/nim.cfg' [Conf]
Hint: used config file 'main.nim.cfg' [Conf]
Hint: system [Processing]
lib/nim/system.nim(2714, 12) Error: undeclared identifier: 'panic'

panicという関数は必須のようです. 同様に,rawoutputという関数も必要なようなので,とりあえず空の関数を作っておきます.

proc rawoutput(s: string) =
  return

proc panic(s: string) =
  return

で,またコンパイルしてみます.

$ nim c main
Hint: used config file '/etc/nim.cfg' [Conf]
Hint: used config file 'main.nim.cfg' [Conf]
Hint: system [Processing]
Hint: main [Processing]
Hint: gcc -c  -w -w -I$lib -ffreestanding -O2 -Wall -Wextra  -I/usr/lib/nim -o /home/sksat/prog/nim/nim-os/nimcache/main.o /home/sksat/prog/nim/nim-os/nimcache/main.c [Exec]
In file included from /home/sksat/prog/nim/nim-os/nimcache/main.c:10:0:
/usr/lib/nim/nimbase.h:482:13: エラー: 配列 ‘Nim_and_C_compiler_disagree_on_target_architecture’ のサイズが負です
 typedef int Nim_and_C_compiler_disagree_on_target_architecture[sizeof(NI) == sizeof(void*) && NIM_INTBITS == sizeof(NI)*8 ? 1 : -1];
             ^~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Error: execution of an external program failed: 'gcc -c  -w -w -I$lib -ffreestanding -O2 -Wall -Wextra  -I/usr/lib/nim -o /home/sksat/prog/nim/nim-os/nimcache/main.o /home/sksat/prog/nim/nim-os/nimcache/main.c'

あー,これはターゲットが32bitなのにコンパイルに使用しているgccが64bit向けだから起きてるエラーですね.nimkernelみたいに別のコンパイラを使ってもいいんですが,面倒なので-m32オプションをつけてしまいましょう. Cコンパイラコンパイラオプションを書き換えるのは--passcオプションで出来ます.

$ nim c main
Hint: used config file '/etc/nim.cfg' [Conf]
Hint: used config file 'main.nim.cfg' [Conf]
Hint: system [Processing]
Hint: main [Processing]
Hint: gcc -c  -w -w -I$lib -ffreestanding -O2 -Wall -Wextra -m32  -I/usr/lib/nim -o /home/sksat/prog/nim/nim-os/nimcache/main.o /home/sksat/prog/nim/nim-os/nimcache/main.c [Exec]
Hint: gcc -c  -w -w -I$lib -ffreestanding -O2 -Wall -Wextra -m32  -I/usr/lib/nim -o /home/sksat/prog/nim/nim-os/nimcache/stdlib_system.o /home/sksat/prog/nim/nim-os/nimcache/stdlib_system.c [Exec]
Hint: operation successful (5319 lines compiled; 0.254 sec total; 3.758MiB peakmem; Debug Build) [SuccessX]

--os:standaloneオプションを付けているので,stdlib_system.cでincludeしているのはnimbase.hだけになっています.素晴らしい.

さて,これでmain関数が出来たので,あとはmain関数をブートローダーから呼び出してあげればいいですね.

今回はちょっと遅くなっちゃったのでnimkernelのboot.Sを拝借しました.

boot.Sをアセンブルしてやると,必要なオブジェクトファイルが揃います.

$ as --32 boot.S -o boot.o

後はこれらをリンクして,バイナリを作ります.

$ gcc -T linker.ld -o main.bin -m32 -ffreestanding -nostdlib boot.o nimcache/main.o nimcache/stdlib_system.o

あとはQEMUで起動してみるだけです.((今回はマルチブート仕様に則ったバイナリになっているので,-kernelオプションで起動できます.))

$ qemu-system-i386 -kernel main.bin

f:id:sksat:20171212203420p:plain

まだ何もしていないので何も起こりませんが,無事起動出来ているようです.

...と思ってnimkernelの画面描画のコード持ってきて動かしてみても失敗しました....何故...というかこれmultiboo 2じゃないんですか...

まあ,自分でコード書けってことですね.

あと,nimkernelについてはそもそもビルドが通りませんでした.これについてももうちょっと調べてみます.

ということで不完全燃焼なかんじですが今回はここまでにします.期末試験中だし.

*1:そういうのが気になる人はベアメタル,というかハイパーバイザ上でmrubyを動かしてブイブイ言わせてるchikuwaitさんというガチプロがいるので調べててみると面白いかも?

*2:hello.jsonコンパイル/リンクのコマンドの設定みたいなやつです

*3:自動生成なのでこればっかりは仕方ないですが,かなりマクロを多用しているからです.まあCコンパイラが最適化してくれますし,基本的にこれらの生成されたCコードを見ることはないので良しとしましょう

*4:setjmp/longjmpは面倒だったのでGCCにくっついてきてるやつを使いました

*5:Rustもやってみたいとは思っている

NeoVim使ってみた

Vim好きだけどちゃんと使ってる???

はい,はてブやってくかって思ったのでやっていきます. 今回のはみなさん大好きVim*1のやっていきです.

僕はあいでーいーとかちょっとよくわからない(というか,マトモに動いてくれない)*2ので,プログラミングにはだいたいVimを使ってます.

ですが,今までは生のVimを使っていただけでした. これはVimmerとしてちょっとどうなのかと思われるかもしれませんが,実はマトモに.vimrcを書いたことがないです.

ということで(そろそろ環境ごとにちょいちょい違うのも嫌になってきたので),「Vimをちゃんと使うか」というお気持ちになってきたので,やります.

NeoVim入れてみた

さて,ここで気になってきたのがNeoVimとかいうやつです. ググってたら頻繁に目についたので.

github.com

次世代のVim?かっこいいやんけ使ったろ(適当). Luaとかがデフォルトで入ってるっぽいですね.良さ.

まずはNeoVimのインストールですね.

# apt-get install neovim
Reading package lists... Done
Building dependency tree
Reading state information... Done
E: Unable to locate package neovim

は?

はい.デフォルトのaptだと入りませんね. PPAを追加してやるといけますね.

$ sudo apt-get install software-properties-common
$ sudo add-apt-repository ppa:neovim-ppa/stable
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install neovim

これだとstableですがunstableにしてやると最新版ににるっぽいですね. でも,せっかくなので最新版をビルドしてみます.

$ git clone https://github.com/neovim/neovim
$ cd neovim
$ make CMAKE_BUILD_TYPE=RelWithDebInfo
$ sudo make install

ここでMakeの時に「まけ」と打った貴方は負けです. はい,負けました.

んでもって色々と調べてみてちょいちょい.vimrc書いてたんですが,どうもこの世界には数々の素晴らしいプラグインといふものがあるっぽいですね. で,しかもそのプラグインたちの管理をするプラグインマネージャもあるとか. 良さそうなので入れてみますかね.

闇の力に目覚める

プラグインマネージャにもいくつかあるっぽいのですが,某はオワコンとのことで,dein.vimを導入してみます.

github.com

"Dark powered"...かっこいい...

ところでこの記事をはてブのエディタで書いていたらFireFox落ちて一部原稿が吹き飛びました. 反省して(Neo)Vimで書きます.

はい.

では,闇の力に目覚めていきましょう. なんかQiitaのよくわからん記事見ながらほげほげしてたら失敗したので公式見ながらやります.

$ curl https://raw.githubusercontent.com/Shougo/dein.vim/master/bin/installer.sh > installer.sh
$ sh ./installer.sh ~/.vim/dein

こんかなんじにやると,installer.shがいいかんじに最低限必要な.vimrcを吐いてくれるので,.vimrcにコピペします.

あとはNeoVimを起動して,

:call dein#install()

とかしてやればok

と思いきや,ダメでした. 調べてみると,NeoVimにおける.vimrc的な奴は~/.config/nvim/init.vimとのこと. ということで,~/.config/nvim/init.vimにさっきのやつをコピペして,dein#install()してやると,うまくいきました.

というわけでNeoVimの方を使い始めていくので良さげな使い方とかプラギンとかあったら教えていただけると嬉しいです.はい.解散~w

*1:Emacs?なんですかそれは?

*2:スペックが低いんじゃ

最近の進捗(10月)

ひと月に一回くらい進捗記録しておくと良さそうなのでやる.

最近やったこと...なんだろう...夏休みがアだった*1のは覚えてるけど...

あと9月は文化祭がありましたね.夏休みがアだったので準備も割とアだったし色々とアなこともありましたが,うまくいったと思います.後輩も色々やってくれたので来年が楽しみですね.

さて10月の進捗ですが,プログラミング関連ではなんかlibsksatなるものを作ってました. これはなにかというと,C++のヘッダオンリライブラリ的なsomethingで,libslankdevとか,clxとか良さみが深いなあ,と思ってなんかほげほげしてました.

libsksatはなんか良さげ,と思ったクラスやらなんやらをとりあえずぶち込んでいくかんじrepoなので,再利用性があるかとかは微妙です. まあC++とgitの練習場みたいなものと思ってるのでいいんですけど(ブランチモデルとか最近知った顔). 使えそうなのができたらemu*2で使おうかな.

あとなんかあるかな...あった. そうそう,Redmine立ててみました.Herokuに.

HerokuでRedmine · GitHub

前はPFLabのイベントの時にちょまどさんにもらったAzureのサブスクリプションのやつでRedmineVM立てて文化祭とか某で使おうとして全然使ってもらえなかった使ってたんですが,あのときはbitnamiでシュッとやったのでRuby on Railsがどうとかはよく分からないまま使ってました.

で,そろそろサブスクリプション切れるし別の立てるか,みたいなノリで色々調べてやってみたはいいものの,動いたと思ったらInternal errorが多発してなんやお前,となったのでうーんうーんと唸りながらうまくいったやつをgistにまとめてみた次第. 大体rmagicとかDB周りで躓くっぽい.

せっかく立てたので有効活用していきたい(今の所某の別のやつで使ってる). あと,チョットRuby on Railsに興味持ったのでそのうちなんか作ってみようかな(などと

最近の進捗はこれぐらいですかねー(少ない). あとはせいぜいGASでslackにチームドライブの更新通知ぶん投げるやつ作ったり,sksat_botを334とか1333とか1640*3に反応させるようにしたぐらいか.

11月も進捗がnullじゃなければ書く.まあ何も無ければもくもく会のこととか書けばいいか(行ければだけど).

*1:ラボ行く機会なかなか無かったから楽しみにしていたラ某ユース合宿行けなかったのホンマつらい...

*2:放置しててア.そろそろ再開する.

*3:というか,334以外元ネタ知らないんだけど,1333とか1640ってなんなん?

BoCCHAN-1使ってみた

はてブ書いてなさすぎて広告表示されちゃいましたよ

ということで、何を書こうかなあと思ったのですが、最近弄っているBoCCHAN-1 OBC(On Board Computer)のことをメモ代わりに書いておこうと思います。

BoCCHAN-1 is 何

超小型衛星用標準搭載計算機ボード – Kimura-Lab.net

木村研究室が開発した技術を使った小型高性能な衛星用計算機ボードで、6cm四方の大きさでありながら従来の超小型衛星のOBCとは一線を画す性能を発揮します。

こういうやつです。

大学発の小型人工衛星、「ほどよし」の主計算機として使われていたりする、けっこうすごいやつです。

え?なんでそんな特殊なコンピュータ使ってんのかって? 実は今年、東京理科大学がやっている宇宙教育プログラムというものに参加していまして、

www.tus.ac.jp

そこでやるCanSat実験用に使っています(贅沢すぎでは)。

機能とか

なんとこいつLinuxが動きます。第1回CHD(CanSat Hands-on Discussion)のときこれを聞いて、静かに興奮しておりました。 アーキテクチャSH4*1。組み込みってかんじですね。

インターフェースについては、I2CとかUARTとかGPIOとかイケるみたいで中々良い。

Xbeeで通信もできるし。

チュートリアルやってみた

宇宙教育プログラムLETUS*2にアップロードされたクイックスタートガイドやユーザーズマニュアルとかを見ながらチュートリアルとかをやってみました。

そこに書いてあった開発手順を簡単に紹介すると、

  • 開発環境一式が入っている仮想マシンイメージをダウンロード
  • 仮想マシン内の、"ほどよしSDK"が導入されたEclipseを起動して、"Executable with HODOYOSHI SDK"プロジェクトを選択して作成
  • C/C++でコード書いてビルド
  • Eclipseの中にいる"BoCCHAN-1 ttyConsole"からBoCCHAN-1にシリアル接続
  • バイナリを"BoCCHAN-1 ttyConsole"にD&Dして転送
  • ttyConsoleから実行してみる

みたいなかんじでした。

開発環境の自作

というわけで、チュートリアルは出来たのですが、ここでいくつか問題が発生しました。 問題とは何かというと、

  • 僕のマシンが非力すぎて長時間仮想マシン(しかもUbuntu)で作業とかちょっとツライさん
  • EclipseというかIDEチョット..vimでやりたい

はい。開発環境自作のお時間です。

まずはEclipseどうなってんのかなと思ったので、適当な"Executable with HODOYOSHI SDK"プロジェクトを作って、Makefileを見てみました。 IDEが生成したMakefileとかクソ長いんじゃないの・・・とか思ったものの、かなり短かったのでやってることはすぐわかりました(Releaseだけだったし)。 主要な部分を抜き出すと、

subdir.mk(コンパイル部分)

%o:../%.cpp
    @echo 'Building file: $<'
    @echo 'Invoking: SH4-Linux G++ Compiler'
    sh4-linux-g++ -I/home/shdevelop/hodosdk/include/ -O0 -Wall -c -fmessage-length=0 -MMD -MP -MF"$(@:%.o=%.d)" -MT"$(@:%.o=%.d)" -o "$@" "$<"
    @echo 'Finished Building: $<'

makefile(リンク部分)

hoge: $(OBJS) $(USER_OBJS)
    @echo 'Building target: $@'
    @echo 'Invoking: SH4-Linux G++ Linker'
    sh4-linux-g++ -L/home/shdevelop/hodosdk/lib -o "hoge" $(OBJS) $(USER_OBJS) $(LIBS)
    @echo 'Finished building target: $@'

こんなかんじです。

ちなみに$(LIBS)は、objects.mkにて、

LIBS := -lpthread -lm -lhodoyoshi -lrt

となっていました。

ようするに、SuperH向けのg++でコンパイルして、ほどよしSDK内のライブラリをリンクしてるだけです。 なんだこれならホスト環境でも全然出来そうじゃん。

なんかpacmanでそれっぽいのが見つからなかったのと、ほどよしSDKとかが結構古いバージョンのもので構成されてたので、Ubuntu環境に移動してSH4向けのgcc,g++を探してみると、ありました。

SH4 - Debian Wiki

# apt-get install gcc-sh4-linux-gnu g++-sh4-linux-gnu

よーし、これでいけるでしょう、ということで、

$ vim hello.c
$ sh4-linux-gnu-gc hello.c -o hello
$ file hello
hello: ELF 32-bit LSB executable, Renesas SH, version 1 (SYSV), dynamically linked, interpreter /lib/ld-linux.so.2, BuildID[sha1]=..., for GNU/Linux 3.2.0, not stripped
$ qemu-sh4 -L /usr/sh4-linux-gnu/ ./hello
Hello, World!

うん、いいかんじ。じゃあこれをBoCCHAN-1に転送して・・・あれ?転送ってどうやってやってるんだ? シリアル接続してコンソールにD&Dってあれなにやってんの?

クイックスタートガイドだけではよく分からなかったので、ユーザーズマニュアルを見てみると、EclipseのttyConsoleの代わりにTera Term*3を使ったファイルのアップロード・ダウンロード方法が書いてありました。 読んでみると、Tera Termというより、それに付属しているZMODEMとかいうものでバイナリをやり取りしているみたいです。ZMODEMってなんぞ?

ZMODEM - Wikipedia

YMODEMというバイナリ転送プロトコルを改善したものらしい。1986年…生まれてねえ…

じゃあYMODEMってなんなの?

YMODEM - Wikipedia

ZMODEMよりは説明が詳しい。これは1985年。1年で名前変えたのか…

これはこれでXMODEMとかいうのを発展させたものらしいので、それも見てみる

XMODEM - Wikipedia

パソコン通信で広く使われてたそうな(こいつは何年なんだ…)。

さて、wikiだとあんまり使い方とかが分からなかったので色々と調べてみると、シリアル接続やtelnet接続、SSHなどでリモートにログインしている時に、受信側でrz、送信側でszを実行すると(速度は遅いが)バイナリが双方向に転送できるらしい。なるほど。

でもLinuxでTera Termとかは使えないし、出来れば端末内で済ませたいなあって思ったら、screenコマンドなるものがあったので使ってみた。 BoCCHAN-1をPCにつなぐと/dev/ttyUSB0が生えるので、screenコマンドを使って、ボードレート115200で接続する。

$ screen /dev/ttyUSB0 115200

BoCCHAN-1は電源を入れたらLinuxが起動して、自動的にログインまで済ましてくれているので、あとはZMODEMを使ってバイナリを転送する。

具体的には、BoCCHAN-1側でrzを実行したらCtrl+A+“:exec sz hello"とかやればファイルが転送できる。

ようやくバイナリが転送出来たので、張り切ってBoCCHAN-1の上で実行してみる。

$ ./hello
sh: ./hello: not found

…は?

$ ls hello
hello

は???

なんでえええええええ(泣)

これ、1週間ぐらい理由が分かりませんでした。

最初は転送がうまく行かなかったのかとか色々考えて、配布された仮想環境でビルドしてできたバイナリを同じ方法で転送してみたりしたのですが、これはうまくいくんですよねえ・・・

原因は、うまく行く方とうまく行かない方のバイナリをfileコマンドにかけてみたら分かりました。CTFかよ。

うまく行かない方

$ file hello
hello: ELF 32-bit LSB executable, Renesas SH, version 1 (SYSV), dynamically linked, interpreter /lib/ld-linux.so.2, BuildID[sha1]=..., for GNU/Linux 3.2.0, not stripped

うまく行く方

$ file hello
hello: ELF 32-bit LSB executable, Renesas SH, version 1 (SYSV), dynamically linked, interpreter /lib/ld-uClibc.so.0, not stripped

どうやら、インタプリタ(?)が違うようです。このインタプリタってなんぞ? 調べてみたら、ELFの共用ライブラリをmmapに配置するあいつでした。確かにそれ違ったら動かないよね じゃあうまく行く方のELFインタプリタ、/lib/ld-uClibc.so.0ってなんなんだ・・・なんかlibcっぽい名前だな・・・

これも調べてみたら、uClibcという組み込み向けのlibc用のインタプリタ、みたいなかんじでした。 心の奥底で、「libcってglibcでしょ?」みたいな先入観が抜け切れていませんでしたね。

ということで、どうやらuClibcを使わなきゃいけないみたいですが、使用するlibcを変更するとかやろうとすると、gccの設定ファイル弄ったり色々しないといけないらしく、どうも面倒です。

でも、そういえば仮想環境の方では普通にsh4用のg++を使っているだけでした。つまり何らかの方法があるはずです。

ここで、ユーザーズマニュアルを眺めていたら、buildrootという文字列を見つけました。BoCCHAN-1で動いているLinuxはこいつを使ってビルドした、ということでbuildrootについて調べてみると、

Buildroot - Making Embedded Linux Easy

Buildroot is a simple, efficient and easy-to-use tool to generate embedded Linux systems through cross-compilation.

組み込みLinux向けのクロスコンパイル用のツールを簡単に作る・・・?どういうことだ・・・?

www.ne.jp

なるほど。組み込みLinux向けのクロスコンパイラやリンカ、さらにLinuxイメージまで作ってくれるものらしい。

$ make menuconfig

でTUIの分かりやすい画面で細かいところまで設定出来る。これは良い。ちょっとcrosstool-ngっぽい。

TOOLCHAINの"C library"を見てみたら、もうデフォルトでuClibcが選択されていた。これはいけそうだ。

本当は仮想環境のbuildrootとgccを同じバージョン、にしたり、色々と設定を合わせたりした方がいいのだろうが、面倒だったので、とりあえずTARGET ArchitectureをSuperH、Target Architecture Variantをsh4(SH4 Little Endian)に設定した。

ついでに、C++を使いたいので"GCC Options"の"Enable C++ support"にもチェックを入れておく*4

これで.configに設定が保存されるので、makeして数時間ほど待つと、buildroot/output/host/usr/bin下にクロスコンパイラやリンカが大量に生える。

$ ls output/host/usr/bin
...
sh4-buildroot-linux-uclibc-g++
...

このコンパイラでビルドして、ZMODEMでBoCCHAN-1に転送すると…

$ ./hello
Hello, BoCCHAN-1!

キタアアアアア!!!

いやー時間かかりました。宇宙教育プログラム受講生でここまでしたの僕ぐらいでしょ(謎のイキリ)(無駄な努力)(素直に配布された環境使え)

今回作った開発環境もどきはGitHubに置いときました。

github.com

なんか間違ってるとことかあったらPRなりIssueなり頂けると嬉しいです(BoCCHAN-1ユーザーそんなにいないだろ

余談

http://www.hodoyoshi.org/

このサイト落ちてる(数年前は割と活動してたっぽい)し、色々とBoCCHAN-1とかほどよしSDKの情報少なすぎでは・・・

もっと情報がオープンになったらいいなーと思うので、CanSat合宿の時にでも木村教授に話してみたいです。

*1:SH4ってなんか聞いたことがあるようなって思ってたけど、OSECPUのhh4と名前が似てる。関係ないけど。

*2:理科大の教育用のなんかの宇宙教育PG用鯖。掲示板とかファイルアップロード出来るのはいいなと思うけど通知とか遅らせられないんですかね。頻繁に見に行くというのは地味にめんどい。調べてみたらmoodleっていうOSS使ってるっぽくて、Rubyで書かれたAPIラッパーがあったから試してみようとしたのだけれど、管理者権限が無いといけないみたいで諦めた。仕方ないからBeautifulSoupからログインするスクリプト書いたけど、めんどくさくなってそれで終わってる。新規投稿が来たらSlackに流すみたいなのが出来れば便利なんだけど。

*3:そういえば作者の方がFF内…ひょええ

*4:最初気づかなくてビルドし直した